甘野老(あまどころ)の花〜ユリ科の多年草。九州から北海道、朝鮮半島、中国の一部に分布し、各地の山林、原野、木陰などに自生する。毎年、一本の茎を地下茎の先端から斜めに出し、高さ30〜80センチになる。4〜6月頃、葉の付け根から1〜2本花柄(かへい)を出し、長さ1.8センチほどの筒状の白い花を、下垂して咲かせる。花の先端は浅く六つに裂け、緑色を帯びる。若苗はゆでて味噌あえに、根は煮物にする。根を干し、煎じて服用すると、老化防止に効果があるという。別名、きつねのちょうちん、いずい、やまどろ等。
春蘭〜東洋では昔から、秋菊と並んで、その姿が清らかで俗気を帯びないのを賞美された。深い山中に生えているが、観賞用として、庭園に植え、また鉢植にする。薄(すすき)に似て細長い強い葉を出す。青味を帯びた淡黄色の花をつけ、紅紫の斑がはいっている。香気の強いのはシナ春蘭で、外形は内地産のと違わないが、香気で区別できる。ほくり・ほくろ・はくり・えくりなどの和名がある。本当の春蘭はシナ種に言うべきで、内地産のものはほくりである。シナで、旧正月に床飾りにするものは報歳蘭と言い、花色は暗紅紫色で、薄黄色に代赭(たいしゃ)の斑点があるものが多い。
東菊〜山野に生じ、葉は嫁菜に似ている。20〜24センチあまりの茎を出し、四、五月ごろ、茎の頂きに菊の花に似た淡紫色の花を一輪咲かせる。蕊は黄色である。花屋で東菊と言っているものは、深山嫁菜の一種、都忘れ(野春菊)である。