櫻草〜河畔の原野に生え、また庭園に栽培する。葉は楕円形で、小さな鋸歯があり、四月ごろ、高さ二十二、三センチの花茎を出して、その頂きに笠形に、桜弁の愛らしい淡紅色の花をつける。江戸時代に武士の間に、この栽培がたいへん流行し、一時は三百種以上もの品種があって、それぞれ品種名がついていた。花形に抱えて垂れるもの、受咲になるものなどがあり、色は白、桃、紅、紫などの単色から、絞り、絣、花弁の表と裏と色の違うものなどがある。その品種の一部は、小石川植物園などに維持されている。野生種は荒川の河床、浮間ヶ原や戸田ヶ原が有名である。それらを日本桜草と言い、現在は洋種やシナ種の培養が盛んで種類も多く、花の色や形の変化もいろいろである。温室やフレームで一月ごろから開花させ、早春の鉢植として喜ばれる。プリムラと言い、常盤桜(プリムラ=オブコニカ)また乙女桜・雛桜・楼(やぐら)桜・化粧桜・一花(いちげ)桜など、品種が多い。色は、白・桃・黄・紅紫・青・海老茶などがある。たいてい花輪が数段になって咲くので、満開の時は一株で数十輪をつけ、壮観である。九輪草もプリムラの一種である。