朱欒(ざぼん)〜柑橘類の中の最大の種類で、直径十センチにいたり、九州南部地方ではかなり栽培されているが、その他の地方でも、珍果として多少の栽培をやっている。ポルトガル語の「ザムボア」から転訛したもの。皮は鮮黄色、ややなめらかで、厚さは1.5センチぐらいで、内側は白い綿状をなしている。肉は緑色を帯びた淡黄色で、紅紫色のものを「うちむらさき」と言っている。甘酸なかばし、香気が高く、わずかに苦味がある。文旦とも言い、中で平戸文旦を優良種とする。十二月に採集し、二、三月に風味良好となり、五月まで貯蔵することができる。皮は砂糖漬にして、文旦漬と言い、長崎県島原の名物である。