ストック〜南ヨーロッパの原産で、寛永のころ渡来し、正しくはストック=ジリフラワーと言い、日本では紫羅欄花(あらせいとう)と言った。葉の細毛がラセイタ(ポルトガル語で羅紗のこと)に似ているので、葉ラセイタから転化したものと言う。茎の基部が灌木状になっていて、30センチあまり、茎が丈夫なところからストックと言った。茎や葉や萼は白いやわらかい綿毛をかぶっている。花は、四弁の十字花で、ヒヤシンスのように円柱(カラム)形に開花するものや、ピラミッド形に咲くものなどがある。色は純白・淡紅・濃紅・紅紫色など、とりどりに匂いがいい。今日では八重咲が優品とされ、花屋に出るのは八重咲である。八重の栽培種の多くは「小あらせいとう」で、十週間(テンウイークス)ストックとも言い、花はやや小さく、紫赤色で、白や絞りの園芸種がある。一種に、「香(におい)あらせいとう」があり、これも徳川時代に渡来したが、原種は黄色で、赤・紅紫・黄赭(しゃ)色などがある。匂いがいいからの名で、英名は壁(ウォール)ジリフラワーと言う。鉢植・切花・花壇用とする。