枯野〜霜降り、草枯れ、虫の音絶えて、蕭条(しょうじょう)たる冬の野である。朽野(くだらの)として用いているのは古くからの誤用である。枯野原、枯原、枯野道、枯野宿、枯野人。
朽野〜山部赤人の歌「百済野の萩の古枝に春待つと居りし鶯鳴きにけむかも」の歌意を誤って、くだら野を朽野と解し、枯野の意味に使った。百済野は大和の地名で、かつて帰化人たちが住んだので名づけられ、大宮と大寺とが建てられた。それらが衰頽して、その荒涼とした冬景色を赤人が歌に詠んだのである。今でも百済寺の址に、鎌倉期の三重塔が残っている。