もじり織りの紗に、米粒のような穀紋を織り出した夏物です。穀織紋は、古くから公家や神官の装束に使用されてきた高貴な有職文様。優しく透明感のある色は、草木染によるものです。ときおり光が降り注ぐように、経絣が入ります。
灸花
灸花(やいとばな)〜薮や叢などに生ずる草状の藤本(とうほん)で、木や竹にからんで長くのび、繁茂する。毛のある先の尖った楕円形の葉をつけ、冬には落葉する。葉の腋から短い梗を出して、晩夏のころ、1センチほどの鐘状、灰白色の花をつけるが、花の内側は紅紫色で微かな毛がある。子供たちがこの花を摘んで、手の甲や頬に貼り、灸になぞらえてたわむれので、この名がある。茎葉に悪臭があるので「へくそ葛」とも言われている。