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単衣訪問着「竹に菊唐草」 |
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竹〜竹は、晩春から初夏にかけて、地表に頭をもたげる竹の子(筍)にはじまり、「雨後の竹の子」の比喩どおり、ニョキニョキと芽が出て、あれよと見る間に、丈余をこえる長幹をなしてしまう。そしてその幹は弾力にとんでいて、しかも強靭であり、縦に割れば潔く音をたてて二つに裂ける。竹の葉は幹とは表情がまったくちがって薄くしなやかで、いかにもさらさらとした感覚が気持よい。竹は早くから日本人の心性としっくりと溶け合って精神土壌のなかに根をおろしていった。
竹の場合、松のようなダイナミックな迫力はない。疾風をうけては幹・枝・葉をその流れにまかせ、雪をいただいては頭をたれる。いかにも受動的な竹の体質からしても、造形にあたって、とりわけクローズアップされることも少ない。しかし、竹のもつ抒情性は、絵画や装飾意匠をやわらげる絶妙な働きをするし、とくに添景物として、脇役としては欠かすことはできない素材である。
菊唐草文〜菊が主題の唐草文様。名物裂、能装束に金襴や唐織によるものがある。又、江戸から明治時代の藍型染による木綿布、丹波木綿などには庶民的で親しみやすく、しかも華やかな菊唐草文が多い。 |
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