撫子(なでしこ)〜山野に生じ、節のある細い茎を叢生(そうせい)して30センチあまり直立し、線形で白緑色の葉をつける。秋の七草の一つであるが、晩夏のころから淡紅色五弁の花を枝の先に咲きつづける。まれに白色のもあるが、花弁の辺に糸状の花爪を具えたその花の姿は優美で、石竹を唐撫子と言うのに対して、大和撫子の名もあり、よく河原に咲くので河原撫子とも言う。海浜に生じ、花の色から名づけられた藤撫子、一名浜撫子は、時に庭に植えられることもある。高山の石礫地に多い高嶺撫子は濃紅色で美しい、そのうち白馬岳連峰に産する全体白霜を帯びた種類を、雲井撫子、霜降撫子と言う。北ヨーロッパ原産のごく矮性(わいせい)の園芸品種に姫撫子がある。